職人の道具。― 2008/11/14 金曜日
『桐箪笥職人』に限らずに、職人の方々は、いろいろな道具を使って物を作っていきますが、桐箪笥職人ほど鉋(かんな)にこだわる職人はいないと思います。
今は、機械の技術がものすごく発展して、機械で物を作ることが多くなってきていますが、『桐箪笥』を作るには、機械では決して作れません。一本一本桐の硬さや、木目が違う為に職人の方が直に触ってみて、長年の経験で一竿一竿手作りで作っていきます。流れ作業ではなく、一人の職人が最初から最後まで、丹精こめて作っていきます。
桐箪笥を作るのに職人の方々が一番気をつけるのは本体に引き出しを仕込む時です。引き出しと本体には隙間を作らずに、箪笥の中で空気を密封させます、密封させることによって虫食いや、カビを衣類から守るいい桐箪笥が出来ます。口でいうのは簡単ですが、実際に『桐箪笥職人』として一人前になるまでには、十年かかるといわれています。それだけ他の『職人』のかたからくらべても、『桐箪笥職人』は難しいとされています。
『桐箪笥』を作る際に、いろいろな道具を使いますが鉋を使いこなすには、相当な年月が必要になります。というのも『桐箪笥職人』が使っている鉋からは、新聞紙の1/10の厚みほどの鉋くずしか出ません。それだけ桐箪笥を作るうえでは、鉋の高等技術が必要になります。
削りすぎると引き出しががたがたになり、『桐箪笥』の中で空気が密封されません。きつすぎると引き出しが開かなくなります。 職人の方々が一鉋、一鉋調整しながら削っていきます。 このような高等技術は、日本ならではの技術ですので、まさしく『日本の宝』だと思います。
今月の12日から18日まで、大阪の大丸、梅田店で催しをさせていただいています。会津松本の販売員の小林と宮城が、販売にあたっています。たくさんの方に我社の『桐箪笥』を直で見ていただいていただけるので、とても嬉しく思います。
今回、販売にあたってもらっている小林は、会津松本のベテランの販売員で、小林の販売をみているととても勉強になります。昔から、会津松本で販売員をしてくださっているので、百貨店からの信頼も厚く、会津松本の社員からも兄貴分的な存在です。
もう一人の販売員宮城も、箪笥や下駄の知識が豊富で、女性の販売員の手本です。普段は『会津松本 東西館』で下駄をすげたり、ネット販売に携わってもらってます。小さい頃から下駄をすげたり、箪笥の販売を間近で見てきているので、一緒に仕事をしている時は、とても勉強になります。
18日まであと4日間ありますが、より多くの方に『会津松本の桐箪笥』を見て頂ける様に頑張ってきてもらいたいです。
沖縄三越での話しですが、「松本さんのところは、箪笥の搬入、搬出大変だねー」といわれます。私も入社した当初は、搬入、搬出が大変だった思い出があります。沖縄には箪笥を積んだトラックをフェリーに乗せてトラックごと運んでいます。販売員は飛行機で沖縄まで行き、フェリーが着くところにトラックを取りにいってトラックに乗って沖縄三越に箪笥を搬入します。
四国、九州などは何時間も何日もかけて、トラックを運転していきます。うちの社員の方々は、長時間の運転に慣れていますから大丈夫なんですが、これから自分が物産展を周るときは、最初は大変かもしれません。
今日の朝六時頃に、社長が有明のフェリー乗り場にトラックを取りに行きました。その帰りに東京のお客様のところに挨拶に行ってきたそうです。全国の百貨店で販売しているので、全国周るのが大変ですが、その分、各地の文化に触れたり、お客様のお宅に納品にいったときなど、その土地の名物をご馳走になる時は、何事にも変えられない喜びはあります。
湿気の強いところでは、引き出し調整にお宅にお邪魔致しますが、『会津松本の桐箪笥』が実際にお客様のお宅で使われているのを見た時には、あらためて、「もっとお客様に喜んでもらえる箪笥を作っていこう。」と思います。
会社にもどり、職人の人たちに『会津松本の桐箪笥』が実際に使われていた様子をはなすと、凄く喜んでいました。職人の人たちからいわせると、精魂こめて作った箪笥を納品に出す時は、自分の娘を嫁に出すときの気持ちに似ているといっています。それだけ職人の人たちは真心こめて、汗だくになり、自分の持っている技術を全部一つの箪笥に込めるわけですからその気持ちもわかるような気がします。職人の方々がそれだけの気持ちになれるということは、自分の仕事に一切の妥協をせずに、プライドをもって仕事をしてくださっているということですので、我が会津松本の誇りでもあり、財産だと思います。
これだけの、『職人』さんと、最高の素材『会津桐』でできている、会津松本の桐箪笥をもっともっと全国のお客様に使ってもらいたいと思います。
10月28日から11月3日まで、沖縄三越さんで実演販売をしてきました。沖縄はすごく暑くて、ホテルやデパートのなかは冷房がかかっていて、まだまだ半袖で充分でした。 湿気がものすごく、沖縄でこそ、桐たんすの良さが発揮できるところだなーと思いました。
初日にテレビ局の方が来てくださり、実演しているところを撮影していただきました。 そのせいか、たくさんの方がきてくださり、より多くの方に会津桐の良さ、会津の職人の凄さをまじかで観ていただくことが出来ました。
物産展では、我社としてはただ販売をしにいくだけではなく、各地の方々に『会津桐』の良さ、『桐箪笥職人』の凄さ、を伝える場所だという思想の下、励んできました。また、この様な機会を与えられている我社は、とても幸せなことでもあり、福島の『会津桐箪笥』の代表として行かせてもらっているので、使命感の様なものも感じました。
そのかいあってか、毎年見に来てくださるお客様や、差し入れを持ってきてくださるお客様もいて下さり、会津松本の一社員として、とても嬉しかったです。
一週間というわずかな期間でしたが、沖縄の暖かい風土や、沖縄の方々の優しさに直に触れることが出来ました。6月にも『会津松本の特別展示会』という催しをさせていただきました。また来年も6月、10月と催しをさせていただくことになる思いますが、今年よりもさらに多くの方に、会津松本の『桐箪笥』の良さをアピールできたらいいなと思っています。