職人の道具。
『桐箪笥職人』に限らずに、職人の方々は、いろいろな道具を使って物を作っていきますが、桐箪笥職人ほど鉋(かんな)にこだわる職人はいないと思います。
今は、機械の技術がものすごく発展して、機械で物を作ることが多くなってきていますが、『桐箪笥』を作るには、機械では決して作れません。一本一本桐の硬さや、木目が違う為に職人の方が直に触ってみて、長年の経験で一竿一竿手作りで作っていきます。流れ作業ではなく、一人の職人が最初から最後まで、丹精こめて作っていきます。
桐箪笥を作るのに職人の方々が一番気をつけるのは本体に引き出しを仕込む時です。引き出しと本体には隙間を作らずに、箪笥の中で空気を密封させます、密封させることによって虫食いや、カビを衣類から守るいい桐箪笥が出来ます。口でいうのは簡単ですが、実際に『桐箪笥職人』として一人前になるまでには、十年かかるといわれています。それだけ他の『職人』のかたからくらべても、『桐箪笥職人』は難しいとされています。
『桐箪笥』を作る際に、いろいろな道具を使いますが鉋を使いこなすには、相当な年月が必要になります。というのも『桐箪笥職人』が使っている鉋からは、新聞紙の1/10の厚みほどの鉋くずしか出ません。それだけ桐箪笥を作るうえでは、鉋の高等技術が必要になります。
削りすぎると引き出しががたがたになり、『桐箪笥』の中で空気が密封されません。きつすぎると引き出しが開かなくなります。 職人の方々が一鉋、一鉋調整しながら削っていきます。 このような高等技術は、日本ならではの技術ですので、まさしく『日本の宝』だと思います。