桐たんす職人がたんすを作り終わると次にたんすに塗装します。
桐たんすの塗装法は、『砥の粉仕上げ』『塗り仕上げ』『時代仕上げ』等ありますが、それぞれ特徴があります。
『砥の粉仕上げ』は桐本来の色を生かした色です。砥の粉とは包丁を研ぐ砥石を削った粉です。
その砥の粉を水と接着剤に溶いて塗ります。科学塗料を一切使わずに天然の素材だけで塗り上げます。
『オイル仕上げ』はドイツの植物性のオイルを使った色です。
特徴としてはお客様の好きな色で塗ることが出来ます。赤、青、黄色 等あります。桐たんすは通常水にはあまり強くないのですが、このオイル仕上げは水にとても強いという長所もあります。
『時代仕上げ』は焼き塗装のことです、バーナーで焼き凹凸をだしてすすを取り除きその上に砥の粉を塗っていきます。
バーナーで凹凸を出しその上に砥の粉を塗ることによって砥の粉が乗った白い部分、砥の粉が乗らない黒い部分が混ざりグレーの様な中間色になります。長年桐たんすをお使いいただいても桐たんすの日焼けにも強く、手垢や傷も目立ちづらいです。
今回は時代仕上げの工程をご紹介します。
まずはバーナーで全体的に焼いていきます。バーナーで焼き終わるとたんす時代は真っ黒になりますが、すすを落としていくうちにある程度は桐の色に近づきます。
次に砥の粉(砥石の粉を水と接着剤で溶いたもの)を塗っていきます、塗ってすぐに砥の粉をふき取っていきます。このふき取る工程が仕上げを大きく左右します。ふきすぎると暗くなってしまいますし、ふきが甘すぎると白くなってしまいます。その時の温度、湿度を確認しながらふきとるので長年の経験が必要になる工程です。
砥の粉が乾き終わったら塗装したところにロウを塗っていきます。
ロウを塗ることによって塗装面に光沢をだしていきます。また、塗装していない本体の内側や引き出しの中にもロウを塗り、引き出しの動きを滑らかにし塗装の工程は終了となり最後に金具をつけていきます。